
フリーペーパー「Rapat(らぱっと)」は、学生がつくる“学び?活動?人との出会い”を届ける情報誌です。
らぱっと編集部では、ただいま新メンバー募集中!
企画してみたい、記事を書いてみたい、写真を撮りたい…どんなきっかけでも大歓迎です。
今回は、読書好きな編集部員3名がぜひ読んでほしい?説9作品を紹介します。 ※この内容はRapat 25号でも紹介しています。
フリーペーパー「Rapat」の編集を行うメンバー募集!
大学生にわくわくするような学び?活動?人との出会いを届ける「Rapat」。
初心者も大歓迎! 何かを発信したい人、ものづくりが好きな人、ぜひ参加してください。
?活動内容:企画会議?取材?記事制作?編集作業など
?活動頻度:毎週火曜日18:00~20:00 部室(常三島キャンパス体育館1階らぱっと編集部)にてミーティング
?興味のある人はDMまたはメールでお気軽にご連絡ください!
Rapat 公式サイト
https://rapatofficialsite.mystrikingly.com/
※公式サイトでは最新号(26号)と過去号3冊(25号、24号、特別号)が閲覧できます。
『今夜、すべてのバーで』 中島らも/講談社?庫
あらすじ
酒を浴び続け肝臓を壊した35歳のライター、?島容の?院?活が始まった。決して極楽ではない、死と隣り合わせの病院の暮らし。それぞれの事情を持った同室の患者、不愛想な担当医、精神がもたない禁酒?活。友?の妹は苛烈に叱咤し励ましに来る。おれはなぜ酒を飲む?これからどうして?きる?筆者の実体験をもとに描かれた、吉川英治?学新?賞受賞作。
魅?
読みやすさに反する内容の濃さが最?の魅?です。登場?物が考えや??観を語る場?では、その深さが重く鈍く?に響いてくるはずです。特に終盤の、霊安室で?島と担当医が話す場?は、時間が経っても忘れられないほど強いインパクトがあります。
こんな時??におすすめ
ある本には、読むのに適した年齢があります。サリンジャーの『ライ?畑でつかまえて』は中??のうちに読んでおかないと、その魅?に最?限浸かることはできないでしょう。同様に、この「アル中?説」はお酒の楽しさと苦しさを知った頃、?学?か20代のうちに読むべきです。読破したらご?報ください、?緒に祝杯を上げましょう。
『未来いそっぷ』 星新一/新潮文庫

あらすじ
<いそっぷ村の繁栄>誰もが知っているイソップ童話の筋書きを、星新一がダークユーモアを以て改変!
<無罪の薬>強盗団が隠し持っていた“無罪釈放となる作用”の薬とは?
<利口なオウム>頼りないセールスマンがオウムを売りに行く理由。
<少年と両親>暴れる不良息子とされるがままの両親のもとに、反抗の終止符を打つ者たちが現れる。
驚きと笑いとゾクッが止まらない、33編の超短編集。
魅力
星新一のSF?ショートショートは多くの人を今も虜にしています。『ボッコちゃん』、『ノックの音が』など、星新一のショートショート作品は他にも多くありますが、題名にも採用されているこの作品1編目の<いそっぷ村の繁栄>は格別に読みやすく、世相風刺に笑いつつ読書を始めることができます。
こんな時?人におすすめ
すきま時間に一編読むだけでも生活が楽しくなります。文系人も理系人も、鞄の中にいつも一冊の星新一を。
『そうか、もう君はいないのか』城山三郎/新潮文庫

あらすじ
経済小説の始祖、歴史小説の名手とも名高い作家による、没後に発見された手記。2000年2月24日に亡くなった妻との出会いから永遠の別れまでを綴っている。「彼女はもういないのかと、ときおり不思議な気分に襲われる。容子がいなくなってしまった状態に、私はうまく慣れることができない。ふと、容子に話しかけようとして、われに返り、『そうか、もう君はいないのか』と、なおも容子に話しかけようとする。 」
魅力
上手く言い表すことができませんが、どんなフィクションのラブストーリーにも劣らないロマンスです。数十年前のことを思い出し書いているとは思えない細やかな描写、奥様である容子さんへの愛おしさが端々から伝わる筆致、読み取れる容子さんの朗らかな人柄に心が温かくなります。終盤では私も容子さんが恋しくなり,じんわりと涙が出ました。
こんな時?人におすすめ
薄めの文庫本なので,読書の時間に乏しい大学生諸君にもおすすめ。携帯して少しずつ読み進めるもよし、夜に一人で一気読みするもよし。
『カラフル』森絵都/理論社
あらすじ
罪を犯し死んで魂となった主人公が、もう一度人間としての人生を送るチャンスを得るために、14歳の男の子「真」の体に乗り移って日常を送る。「真」は自殺をしてしまった身。彼の周りは不幸で渦巻いており、主人公もだんだん気を病んでいくが…。
魅力
二時間あれば読み終わると思うので本が苦手な人にもお勧めできる本です。読み進めていくうちにほろっと涙がこぼれ、心が温かくなることでしょう。登場人物全員が個性的で人間らしく描かれているので、クラスメイトの言動にもやっとしたり、両親が気を遣っている空気感に気まずくなったりなど実際に経験したことのある気持ちになって楽しむことが出来ると思います。
こんな時?人におすすめ
生きることに少し疲れてしまった、もしくは近頃そう感じている人、感動系の小説が好きな人
『人間標本』湊かなえ/KADOKAWA
あらすじ
幼少期、主人公の男は蝶の生きている綺麗な姿をそのまま保存できる“標本”の存在に心を奪われた。その後、蝶の研究者の道を歩んだ男は、美しく絵を描く才能も持ち合わせている5人の少年と出会う。彼らと関わっていくうちに次第に蝶と重ね合わせていく男は、彼らを“標本”にする計画を立てるのだ。
魅力
計277ページにも及ぶ大作で、本は分厚く読書が苦手な人からすると少し手を出しづらいかもしれませんが、一度読み進めるとページを繰る手が止まらなくなるほどに中毒性があります。また情景描写がリアル、そして美しいので、実際に本の中の世界へどっぷり浸かってしまうこと間違いなしです。主人公の男の考えは一見狂気に満ちているように思えますが、読んでいくうちに理解できていくところが恐ろしくまた面白く感じられます。二転三転する結末にも注目してみてください。
こんな時?人におすすめ
平凡な日々に飽き飽きしている人、美術が好きな人、小説?ドラマの中で登場人物に感情移入して読み進めるのが好きな人
『夜のピクニック』恩田陸/新潮文庫

あらすじ
高校生活の最後を飾るイベント「歩行祭」 。甲田貴子は3年間隠し通してきた秘密を清算するため、ある賭けを胸に秘めていた。80キロという長い距離を夜通し歩くことで、普段は話す機会の少ないクラスメイトとも自然と会話が生まれ、彼らの悩みや想いが少しずつ交わされていく。歩行祭という特別な体験を通して、友情や恋愛の感情が静かに揺れ動き、それぞれが自分自身や周囲との関係を見つめ直していく。貴子は、仲間たちとの絆を深めながら、自らの心の内と向き合い、新たな未来に向かって歩き出す。
魅力
主人公たちはもちろんですが、私はそれを取り巻く友人たちも大好きです。一晩の非日常が、登場人物たちにとってかけがえのない経験となり、彼らが少しずつ成長していく姿が魅力です。心温まる素敵な作品です。
こんな時?人におすすめ
青春小説が好きな人、美しい表現や詩的な描写を楽しみたい人
『麦本三歩の好きなもの』住野よる/幻冬舎
あらすじ
図書館に勤務している20代の麦本三歩はおっちょこちょいで不器用。毎日失敗し、叱られる三歩ですが、落ち込んでも引きずらない。なぜならば「無意味に散歩できる人こそが価値のある人間である。 」という言葉が三歩のモットーだから。何も考えていないようで、実は誰よりも繊細で、でもだからこそ誰よりも日々の小さな幸せに気付くことが出来る。そんな麦本三歩の日常が12編にわたって描かれる。
魅力
主人公である麦本三歩の能天気さや不器用さに最初は正直ムカッと感じてしまいますが、読み進めていくうちに三歩の能天気さの中に隠れている芯の強さや揺るぎなさに心を奪われていきます。本の中で描かれる細かい日常の描写や、周りの人との関わりを見る内にいつしか三歩のファンになることでしょう。私は特に三歩の何気ない毎日の中に、些細な幸せを見つけられるところが好きです。本を読み終えると、時にはゆっくり歩いて空でも眺めてみようかなという気持ちになれます。
こんな時?人におすすめ
繊細で生きづらさを感じている人、日々生き抜くことに精いっぱいな人、明るい気持ちになりたい人、ゆったりとした作品が好きな人
『推定少女』桜庭一樹/角川文庫
あらすじ
「ぼく」こと巣籠カナは、とある事情で逃げていた。パトカーのサイレンが鳴り響く中、どこかに身を隠そうと目についたダストシュートを開けると、不思議な現象とともに、拳銃を握りしめた裸体の美少女を発見した。彼女は記憶喪失を自称しており、自分の名前や出自に至るまであらゆることを忘却していた。疑いつつも、カナは彼女に惹かれていった。カナは雪のように肌が白い彼女に「白雪」と名付け、一緒に東京?秋葉原を目指す。東京では、銃砲店でアルバイトをしている水前寺千晴と出会う。2人は逃亡を続けるが…。
魅力
不思議な世界観と細かい内面描写のなかで、カナの成長を見守ることができる点が魅力です。角川文庫版では、ファミ通文庫版で未収録だった結末が2つ追加され、好きな結末を読むことができます。
おすすめ
成長小説が好きな人、現実とファンタジーが交錯した作品が好きな人
『i』 西加奈子/ポプラ文庫

あらすじ
シリアで生まれたアイは、アメリカ人の父と日本人の母に養子として引き取られ何不自由なく暮らしていた。しかし、アイはその恵まれた環境に強い罪悪感を抱いていた。自分は偶然選ばれて幸せな生活を送っている。それは裏を返せば、選ばれなかった人たちがいるということだから。高校で初めての数学の授業で数学教師が言った言葉がアイの中に深く残り続けた。その後も自身のアイデンティティについて考え続けるアイだが、親友のミナや恋人ユウとの出会いによって自分を認めることができるようになる。
魅力
率直に言うと、テーマは重く難しいものだと思いますが、主人公が経験する人間関係や社会的な葛藤を通して、多くの人が抱える孤独感やアイデンティティの揺れをリアルに描いている点が魅力です。文庫版では著者の西さんと又吉直樹さんの対談があって、その内容も興味深いです。
こんな時?人におすすめ
どことなく孤独を感じる人、繊細な人、異文化や多様な価値観に興味がある人




