消化器癌に対する臨床検体を用いた治療効果予測と診断精度向上

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皇冠比分网_皇冠体育投注-【长期稳定直播】6年度 若手研究者学長表彰 皇冠比分网_皇冠体育投注-【长期稳定直播】報告

報告者

 病院 消化器?移植外科 特任助教 和田佑馬

研究タイトル
 
 
 消化器癌に対する臨床検体を用いた治療効果予測と診断精度向上
 
 
研究経緯等
 
【研究グループ】

   大学院医歯薬学研究部消化器移植外科分野 教授  島田光生
   大学院医歯薬学研究部消化器移植外科分野 准教授 森根裕二

【学術誌等への掲載状況】
  1. Wada Y, Shimada M, Murano T, Takamaru H, Morine Y, Ikemoto T, Saito Y, 
    Balaguer F, Bujanda L, Pellise M, Kato K, Saito Y, Ikematsu H, Goel A.
    A Liquid Biopsy Assay for Noninvasive Identification of Lymph Node  
    Metastases in T1 Colorectal Cancer.
    Gastroenterology. 161(1):151-162.e1. (2021)
  2. Wada Y, Shimada M, Yamamura K, Toshima T, Banwait JK, Morine Y, Ikemoto T, Saito Y, Baba H, Mori M, Goel A.
    A Transcriptomic signature for risk-stratification and recurrence prediction in 
    intrahepatic cholangiocarcinoma.
    Hepatology. 74(3):1371-1383. (2021)
  3. Wada Y, Shimada M, Morine Y, Ikemoto T, Saito Y, Baba H, Mori M, Goel A.
    A transcriptomic signature that predicts cancer recurrence after hepatectomy in  
    patients with colorectal liver metastases.
    Eur J Cancer. 163:66-76. (2022)

研究概要

 消化器癌に対して、腫瘍検体やリキッドバイオプシーに着目し、腫瘍細胞から分泌される血液中の遺伝子やmiRNAを同定することで、消化器癌の治療効果予測や診断精度向上を目的とした研究を行ってきた。
 1. 粘膜下層浸潤大腸癌は早期癌の中でもリンパ節転移の観点から外科的根治切除が推奨されている。しかし、実際の外科的根治切除後の病理診断によるリンパ節転移陽性率は8%と低く、リンパ節転移を予測することが過大侵襲抑制の為にも重要である。そこで、粘膜下層浸潤大腸癌患者における術前リキッドバイオプシーを利用し、リンパ節転移が予測可能であることを報告した。以前の研究から、リンパ節転移に関連する4個のmiRNAと5個の遺伝子を同定しパネルを作成した。粘膜下層浸潤大腸癌で根治切除を施行した患者の188血漿検体を用いて検証し、Training: AUC=0.86, Validation: AUC=0. 82であった。現在、使用されているガイドラインでのリスク因子では92%で過剰治療されていたが、確立したリスクモデルを使用すると、18%まで抑制する事が可能であり、大腸癌治療における現在の治療ガイドラインを改変する可能性がある(下図)。

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 2. 肝内胆管癌の切除臨床検体を用いて、包括的遺伝子解析を実施し、再発リスクが高い患者を術前に予測可能であることを報告した。徳島大学、九州大学、熊本大学、米国City of Hopeの多施設共同試験である。まず、public dataset (TCGA: n=27、GSE107943: n=28)を使用し、肝内胆管癌患者の術後再発に関連する包括的な遺伝子解析から8個の遺伝子を特定しパネルを作成した。2つのdatasetで検証し、AUCはそれぞれ0.92、0.91と良好であった。続いて、日本国内の3施設の肝内胆管癌患者の241検体 (Training: n=64、Validation: n=177)を用いて検証し、Training: AUC=0.89, Validation: AUC=0. 86であった。それら遺伝子パネルと臨床病理学的因子を組み合わせ確立したリスク層別化モデルは、AUC=0.89と良好であり、高リスク患者の85%で再発予測が可能であり、治療戦略を決定するうえで重要な結果であった(下図)。

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今後の展望(研究者からのコメント)
 

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リキッドバイオプシーには血液以外にも腹水や尿、便などがありますが、リキッドバイオプシーを用いる事でスクリーニングや診断、術後の再発や治療の効果予測、治療後のモニタリングまで予測できる事が可能です。また今回、国際多施設共同研究として多くの研究機関、先生方から協力頂き、共同研究を行って参りましたが、バイオマーカー研究には多施設共同の前向き研究が重要ですので、徳島大学からバイオマーカー研究をさらに発展させていきたいと思います。
 

お問い合わせ先

研究?産学連携部研究?産学企画課

電話番号:088-615-2318

メールアドレス:kskenkik[@]tokushima-u.ac.jp

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